さて、続き。
オートガイドの失敗原因としては
「シンチレーションによる星像のゆらぎを拾ってしまい、誤補正信号を出してしまう。」
「そのゆらぎの影響を受けないように感知域を大きく設定するとズレを感知できず、
そもそもオートガイドの恩恵を受けられない。」
といったところか。
な~んだ。
それじゃ星が瞬かない、シーイングのいい日に撮影すればいいんじゃない。
まさにその通りで、実際、シーイングがいい日はオートガイドもビシッと決まる。
1000mmオーバーだとどっちみちシーイングが悪いとボケボケになっちゃうしね。
でもシーイングが悪くても500mmくらいだとさほど影響無いし、頑張って撮影だ!
っていうときはどうする?
で、登場!
星像のゆらぎをキャンセルしたスーパーオートガイダーのM-gen(改)。
なんのことは無い。実は赤外光を使ってガイドするだけのこと。
赤外光の効果は絶大で、このブログの月の写真はすべて赤外光によるもの。
もはや月撮影においてIRpassフィルター無しは考えられないほど。
実はこのアイディアはだいぶ前に思いついてたんだけど、PHD2に使っていた
カメラが古いカラーカメラで、赤外域の感度が微妙(というか感度自体低め)で
赤フィルター付けると星が見えない、、、。
M-genはどうかな?
という訳でやってみた。
協栄産業のM-genはKowaの75mmレンズが付いている。
このレンズのフィルター径は34mm。
おっと、手持ちのIR850フィルターは31.7mm。そのままでは付かない。
しかもIR850はかなり特殊で、受注生産か、自分で削って作るかしかない。
なのでIRではなく普通のRフィルターを使ってみる。
月の撮影でもIR、Rをとっかえひっかえ使っているのでさほど変わらないでしょう。
フィルターの規格を見ると34mmというのは無く、一番近いのは37mm。
ところが値段が高い。
調べてみると43mmがお手頃。
なので、ステップアップリングを介して取付。ついでにフードも新調。
純正というか、付属のフードはふにゃふにゃの頼りないモノなんで。

赤フィルターはマルミのR2というモノ。
おそらくR600~程度のモノと思われます。
ちなみにHαが650程度なので、これは赤外ではなくて「赤」ですね。
組み立てると、、、

こんな感じ。
いよいよテスト。
空はジェット気流が吹き荒れ、木星さえ瞬いて見える極悪シーイング。
絶好のテスト日和(笑)
せっかくなのでシュミカセC8を使う。(レデューサー付で1380mm相当に
フォーサーズのカメラ使用。×2で2760mm相当?)
ちなみにちょっと前に350mmすらまともにガイドできなかった事もあり。
まずフィルター無しでM-genをセットすると、案の定もの凄いゆれ。
M-genの小さなモニターの中で星像がフワフワと揺れているのが解かる。
で、フィルター装着。
思わず「おっ!」と声が出る。
ガイド開始。

なんか、ガイドグラフが妙に安定してるんですけど。
これくらいシーイングが悪いと、tol値(PHD2で言うMinimamMotion (MnMo)たぶん)
を0.8とかにしないとハンチング状態になるのだが、0.3でもOKみたい。
ずっと荒れる事も無くテスト終了。
結果がコレ。

「M63」
カメラはASI1600MCPro。
シーイングが悪いので星像がかなりボテっとしてるけど、結構写ってる!
今までの例としてこのC8での撮影だと1分露光で80%くらいの成功率。
2分だと60%くらい、3分だと50%いくかいかないかくらい。
今回は3分露光で15枚、なんとすべて成功。
これってスゴイんじゃない?
M-genはしょぼいというか、上の写真みたいな簡易グラフしか出ないので
PHD2で試せば詳細な記録がとれるんだろうけど、今回のテストで完璧な
結果が出てしまったのでもはややる気無し(笑)
もしかして既存のアイディアでしたらスイマセン。
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