前回、M-genに対しては 「R」フィルター で満足な結果が出たので検証は
終了と書きましたが、赤道儀が2台体制になったことでオートガイダーの増設
が必要になったので放置していたPHD2のシステムを使う事に。
さて、以前から考えていた 「完全赤外光によるオートガイド」は可能なのだろうか?
という問題。
さっそく検証してみた。
まず知っておくべきは、当地はなぜかシンチレーションによる星の瞬きが異常に
大きいという事。
大きく分けて高層気流による星像の乱れは2種類。
冬季に多いジェット気流による高周波な乱れ。
月や惑星を見ると「砂の嵐」状態で、まったくピントが合いませんが、大きく
ゆらぐ訳ではないので点像である星を撮るにはあまり影響無い。
もう一つは川の底を覗くような「タップんタップん」な乱れ。
こういうゆらぎは高速シャッターで撮影して画像処理を施すことで月や惑星は
まあまあ写る。
が、星は一回り大きく、ボケボケになってしまうしオートガイドに悪影響を及ぼす
のもこの手の気流だ。
さて、PHD2ユーザーの皆さんはガイドを始めた時、どのくらい星像が揺らいで
いるだろう?

これは先日、PHD2を起動させて補正信号が入らないようにセットして流した
グラフ。(一部 3”をオーバーして補正がはいっていますが)
ハンチングしている訳ではなく、単に星が揺らいでいるのだ。
補正していないのでPモーションの影響で青線の赤経グラフが波打っている。
単純に、星像が+3”~-3”の間を揺らいでいる。
Pモーションもおおまかには同じくらいだ。
ざっくり言うとオートガイドで星像をゆらぎ以下にすることはできないので、
Pモーションを無視できる焦点距離のレンズならばオートガイドしなくても
結果は良好なはず。
逆にオートガイドすると星のゆらぎ以上に過補正してしまい、楕円形の星像
になってしまうことも。
よく聞く「オートガイドが暴れるのでOFFにしてノータッチで撮った」という状況。
経験上、この状況でオートガイドすると200mmクラスでも微妙に流れてしまう
事も多い。
実際、オートガイドしながらグラフを見ていると左上のグラフの中心の四角が
カクカク動いてるのが解かるし。
で、改善すべく、いろいろと工夫はしてきたのだが、、、。
まずガイド鏡の焦点距離を短くする。以前は240mmその後200mmに変更。
結果、あまり変わらず。
M-genを購入。レンズは75mmを選択。
結構調子いいけど、結局短焦点化によってゆらぎを拾いにくくなっただけなのかも。
精密にガイドしようとしてTol値を絞ると結局ハンチングを起こす。
その後Rフィルター使用により精度向上。
同じ事をPHD2のグラフを見ながらやってみる。
完全赤外で。
まずはIRパスフィルター
問題はこの真っ黒なフィルターで星が見えるのかという事。

ZWO社製。¥2800也。
これをASI120MCに付けてみる。

まずはフィルター無しでピントを合わせる。
フィルターを装着していざ!
あれっ?? まったく見えません。
ゲインを上げたり露光時間を長くしてみるも全然見えない、、(T_T)
仕方ないので赤外感度の高いASI290MCに交換してみる。
と、、、おおっ!見える!
というか感度高すぎてゲインを半分くらいに落とさないとだめなくらい。
あちこち振ってみるが、どこを見てもちゃんと星が見える。
M-genより感度高いんじゃない?っていうくらい。
この時は120は赤外感度低いのかな~、と思ったけどよくよく調べてみたら
なんとIRカットフィルターが入っていたことが判明。
当然ですがIRカットフィルターが入っていると赤外ガイドは出来ません。
外すことは可能なので後日再検証するかも、、、。
さて、PHD2起動。
どうなった?

どうだろう?
かなり落ち着いてるんじゃない?
(注) 2つのグラフは同じガイド鏡、同じカメラ、同じ時間帯(15分差くらい)です。
IRパスフィルターの有無のみ違います。(セッティングの数値は微妙に
違います)
500mm以下くらいのレンズならかなりの悪気流でもいけそうな感じ。
まあ、それ以上だとどんなにキチっとガイドしてもボケボケになっちゃうけどね。
という訳で赤外ガイド大成功!!!
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